<夏の安全対策について>
日本特有の高温多湿の環境下での過酷な練習は、脱水と疲労の蓄積によって、熱中症や頭部外傷などの重大事故が発生しやすくなります。年間の重大事故は6〜8月が多く、重症頭部外傷は夏の練習で起こることが多いことを考えると、夏は1年で最も注意が必要です。こうした重大事故防止のため、次の七か条を守って下さい。
- 暑さに慣れるまでの1週間は練習メニューの時間や内容を調整しましょう。少なくと も合宿前には調整を終わるように日程を計画して下さい。
- 7/20〜8/20の期間中は、12時から15時の間は、気温が30度以上ある場合は、練習及び試合を自粛して下さい。(全国安全対策委員会合意事項)
- 上記以外でも高温多湿の時間帯を避け、体調不良の選手には特に気をつけて、無理せず軽いメニューにするか、思い切って中止させましょう。少人数チームの場合は、少ない選手に負荷が増大(集中)しすぎないように注意して下さい。
- 暑い時は20〜30分に1回を目安に休憩を頻繁にとって、こまめに水分を補給させて下さい。
- フルコンタクトの練習は必要最小限に止め、やる場合は早めの時間帯に短時間に集中して行って下さい。集中力を途切れさせないことが重要です。
- 当たる時は「頭(ヘルメット)から先に当たらない」ことを常に心がけ、必ず相手に対してヘッドアップするようにして下さい。特に頭のてっぺんから当たる「スピアリング」(この言葉は今年のルールブックからはなくなりました)は非常に危険な反則です。相手の選手への危険もさることながら、反則した選手自身が頭頚部に重症を負う危険性の方が大きいのです。頭の頂上からのブロックやタックルは絶対にやめて下さい。
- 首を強化するメニューを5分で結構ですから、練習毎に必ず盛り込んで下さい。また、暑い時期は、軽い装備での練習も多いと思いますが、ショルダーを外してもヘルメットだけは装着することで、暑さに慣れることと首を強化することにもなります。
合宿の場合は万一に備えて救急指定病院(循環器科と脳神経外科がある事が望ましい)を調べ、緊急連絡網を作成して医療担当者は常時携帯して下さい。 山奥の涼しい環境下で夏合宿を計画されているチームもあるかもしれませんが、その際には脳外科のある救急病院に搬送できる場所を考慮して下さい。また、涼しいところからいつもの暑いグランドに戻ったときには、暑さに慣れるまで練習を軽減して下さい。
- なぜ、疲労や脱水によって頭部外傷が起こりやすくなるのでしょうか?
- まず、疲労によって首の筋肉が緩んでしまい、当たった時や転んだ時に“首を固める”ことができずに、衝撃が直接頭へ行ってしまうのです。また、疲労すると集中力が低下し、当たる際の基本的なフォームが乱れてしまいがちになり、頭が当たってしまう確率が高くなります。これを防ぐために“気合を入れて”集中することも重要ですが、疲れていては気合も入りません。また、頭の中の脳も水分を多く含んでいますので、発汗・脱水によって収縮します。すると頭蓋骨(これは収縮しません)と脳とをつなぐ血管の余裕(たるみ)が無くなり、ピーンと張った状態となってしまい、いつもより小さいショックでも血管が切れて脳内出血を起こし易くなります。
さらに、過去に脳内出血を起こしたことのある場合は、すでに血管そのものが痛んでいるために、軽い衝撃でも一気に大出血を起こす危険があります。「頭痛」という症状が頭の中の血管のわずかな出血を示す危険信号の場合もあるのです。
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